寺田凛奈は一瞬固まった。
実は入江和夜が入江桂奈によって戻されたとき、すでに臼井陽一が何か知っているのではないかと考えていた。しかし、彼女は積極的に尋ねることはしなかった。
臼井陽一は神秘組織に戻り、特殊部門の神聖な使命を背負っていた。彼女は自分の私事で彼を邪魔し、入江和夜の調査中に彼が露見するのを避けたかった。
だから彼女はずっと聞かずに、自分で調べようと思っていた。
それにリリのDNA照合も、早かれ遅かれ成功するはずだった。時間の問題だけだった。
しかし臼井陽一が自ら電話をかけてくるとは思いもしなかった。
寺田凛奈の心の中に感謝の気持ちが湧き上がり、彼女は尋ねた:「真相は何なの。」
臼井陽一は声を潜めて、明らかにこっそりと電話をかけていた:「私の調査によると、その子はずっと入江桂奈に本部に隠されていて、だから私は一度も会ったことがない。でも入江桂奈が今日彼と電話で話していた時、うっかり口を滑らせた。彼女は入江和夜に叔母の入江冬月を何とか助けるように言った。しかしその子は『なぜ?私を育ててもいないのに、あなたの妹だからって助けなきゃいけないの?』と言い返した。入江桂奈はそれなら最低限死なせないようにと言い、入江和夜は『問題ない』と答え、さらに『安心して、私はばれないように気をつけます。少なくとも実の父からみれば、叔母は私の母親です』というようなことを言った。だから私は、入江冬月が子供の母親ではないと判断した。」