第646話 DNA鑑定の真相

寺田凛奈は報告書をちらりと見て、この女性を相手にする気もなく、そのまま彼女に投げ渡した。

谷本奥様はすぐに受け取った。

一目見た後、彼女は固まり、そして眉をきつく寄せた。

三原伶に付き添っていた三原璃は、タイミングを見計らって近づき、谷本奥様の信じられないという表情を見て、彼女の前に立ち、口を開いた。「この子はもう4ヶ月近くで、1ヶ月ちょっとの子供ではありません。結果が出ましたが、ご親戚の...谷本奥様はもうお信じいただけますよね？」

その言葉を聞いて、谷本奥様はようやく急いで顔を上げた。

彼女はこの報告書を信じられず、すぐに言った。「そんなはずはない、私は春姫が妊娠したと知ってから、自分で病院に連れて行って、検査をし直したのよ！確かに1ヶ月ちょっとだったわ！」

春姫のお腹が大きいのに、彼女に分からないはずがない？

彼女も疑っていたので、わざわざ春姫を病院に連れて行った。昨日、谷本蒼樹が離婚する前に、検査をし直したのだ。

彼女の言葉を聞いて、三原璃は尋ねた。「どこの病院に行かれたんですか？」

谷本奥様は答えた。「京都母子です。」

三原璃は目を伏せ、冷笑した。「京都母子の主任が春姫のいとこだということを、ご存じなかったんですか？」

谷本奥様：？

彼女は完全に呆然としていた。「まさか！」

彼女には母子病院の主任のことなど気にする必要もなかったので、そんなことは全く考えもしなかった！ただ病院に行って、子供が1ヶ月ちょっとだと確認され、医者が冗談めかして言ったのだ。「食べ過ぎないようにしてくださいね。このお腹だと、知らない人は3ヶ月以上だと思ってしまいますよ。このように太り過ぎると、早産の原因になりますからね～」

だから彼女は春姫のお腹の子供が谷本蒼樹の子だと確信していた。

しかし今になって、これは全て春姫が前もって仕組んだ罠だったのかもしれないと理解した！

谷本奥様の顔色が目まぐるしく変化し、白から紫へ、そして紙のように青ざめていく様子を、傍らの寺田凛奈は舌打ちしながら眺めていた。

しかし谷本奥様はどうしてもこの事実を認めようとしなかった。「このDNA検査の報告書は絶対に偽物よ！あなたたち、私を騙しているのね！」