寺田凛奈は車で直接藤本凜人の邸宅へ向かった。
彼女が玄関に入った瞬間から、誰かが藤本凜人に知らせていたので、寺田凛奈が車を停めた時には、藤本凜人は既に駐車場で彼女を待っていた。
寺田凛奈は車から降りると、藤本凜人の表情が少し厳しいのを見て、思わず尋ねた。「どうしたの?」
藤本凜人は少し黙った後、ようやく口を開いた。「芽の誕生日を祝いたいんだ。」
誕生日か……
寺田凛奈は少し驚いた。そうだ、あと5日で寺田芽の誕生日だった。
これまで毎年のこの日は、芽の誕生日であると同時に、建吾を失った日でもあったので、彼女は芽の誕生日をあまり祝うことがなかった。
それに海外にいた時は、親族も少なく、毎回叔母が芽にちょっとしたプレゼントを用意し、ケーキを買うだけだった。
藤本凜人の言葉の意味は、もしかして盛大な誕生日パーティーを開こうということなのだろうか?