第666章 藤本建吾の思惑

寺田凛奈は寺田芽がこの質問をした時、入江和夜の方を見た。

誕生日?

そうだ、入江和夜がいつ生まれたのかわからない。もし彼が芽と建吾と同じ誕生日だったら……それは何かを意味しているのではないか?

入江和夜は寺田芽の誕生日を聞いて、少し驚いた様子だった。

彼は頭を下げ、咳払いをしてから言った。「僕にはお母さんがいないから、自分の誕生日なんて知らないよ」

寺田芽は大きな目をパチパチとさせた。

藤本建吾が近づいてきて言った。「じゃあ、一緒に誕生日を祝おうよ。僕も今まで誕生日を祝ったことないから」

入江和夜は即座に顔を上げた。「本当?」

「本当だよ」

藤本建吾の返事に、入江和夜の目が輝きだした。

彼は顔を上げ、ツンデレな口調で言った。「いいよ!」

藤本建吾は藤本凜人の方を向いた。「パパ、今年は三人で一緒に誕生日を祝ってもいい?」