第669章 誰が悪い子なのか

入江和夜は扉の外に隠れ、藤本凜人を密かに観察していた。

男は眉をひそめ、何か悩んでいるようで、考え込んだ表情を浮かべていた。そして、考えているときは無意識に指で自分の鼻を触っていた。

入江和夜は鼻に触れていた手を一瞬止め、瞬きをして、それから指を下ろした。

来る前は、暴君に自分の誕生日を伝え、その日に入江和夜も藤本凜人の息子だと公表してもらおうと考えていた。

しかし、ここに来てみると、中に入る勇気が出なくなってしまった。

もしも、自分の誕生日を告げても、暴君パパが祝ってくれなかったら?

考えている時間が長すぎて、突然扉の外から騒がしい声が聞こえてきた。入江和夜が振り向くと、さっき帰ったはずのガキ大将たちが、また戻ってきたのだ!

ただし今度は、それぞれの親も一緒だった。