第670話 この家は実は悪くない

藤本公栄のお母さんが最初に子供を病院に連れて行って包帯を巻かなかったのは、建吾の機嫌を取るためだった。

長年、彼らの一家は建吾の有力な助手になろうと必死だったが、残念ながら、建吾も凜人も他人に対して冷淡な性格だった。

特に建吾は軽度の自閉症があり、家族の中でも親しい人がほとんどいなかった。

だから今回公栄が事故に遭った時、彼の母親はこれをチャンスだと思った。

彼女は直接口を開いた:「そうよ、建吾、どういうことか話してちょうだい?早くお父様に言って、この子がどれだけ嫌な子か。家でいつも理由もなく怒り出して、人をいじめて、横暴で、それに非常に野蛮で、しつけがなってないの。お父様、この子を追い出すか、外で教育してからまた住まわせてください!そうしないと、うちにはこんなにたくさんの子供がいるのに、次は誰が噛まれるかわからないわ!」