第679章 私はあなたのママよ（2）

藤本建吾は怒りの目で彼を見つめた。「一生誰かに管理されてもいい！」

その言葉を聞いて、入江和夜は一瞬固まった。

小さな体が突然黙り込み、彼は思わずもう一度尋ねた。「ママって本当にそんなに大切なの？君だってつい最近ママと再会したばかりでしょう？この五年間、ママなしで過ごしてきたじゃない！」

藤本建吾は焦って目が赤くなった。ママは大丈夫かもしれないと分かっていても、ママのことになると理性を失ってしまう。

彼は叫んだ。「君はママがいなかったから、ママがいる気持ちが分からないんだ！ママの抱擁は温かくて、ママの体は柔らかくて、ママは優しく話しかけてくれて、僕の額にキスしてくれて、宝物って呼んでくれる……だから、どいて！起き上がらせて！ママを助けに行かなきゃ！ママを失いたくない！」

藤本建吾の泣き叫ぶ声に、入江和夜は再び黙り込んだ。彼が小さな腕で体を支えようとするのを見ていたが、睡眠薬の効果で倒れてしまう。そこで入江和夜は突然口を開いた。「君のママは大丈夫だよ。からかっただけ」

藤本建吾は一瞬固まった。

入江和夜は小さな顔を引き締めて、後ろを振り返りながら続けた。「まだ手を出してないけど、話がまとまってないみたいで、もうすぐ動き出すかも。まあいいや、今日は気分がいいから殺生はしたくない。僕が君のママを助けに行ってあげるよ！」

そう言うと、彼は藤本建吾を押しのけ、そっと車のドアを開けて降りた。

一歩一歩前に進む。

あの二人のボディガードの背中を見ただけで、極限まで恐怖を感じた。

たろうは昔、彼の天だった。その天はこの二人のボディガードによって破られた。だから入江和夜は小さい頃から何も恐れなかったが、この二人のボディガードだけは怖かった。

今、この二人のボディガードの手から、藤本建吾と寺田芽のママを救わなければならない。考えただけで、自分が狂ったと思った！

でも、藤本建吾が必死にもがく姿を見て、寺田凛奈が車で追いかけてくる姿を見て、なぜか心が痛んだ。

これが、ママの気持ちなんだ！

そう思うと、また勇気が湧いてきて、もう一度一歩一歩彼らに向かって歩き出した。

彼らに近づくと、二人のボディガードが口を開くのが聞こえた。「寺田さん、こうまで分かっていただけないなら、こちらも容赦はできませんよ！」

そう言うと、二人は攻撃の構えを取った。