入江和夜は緊張して首を伸ばし、後部の窓ガラスを通して後ろを見た。
彼は小さな体を座席に乗せ、小さな頭には大きな目が不安と恐れでいっぱいだった。この二人のボディーガードは、幼い心に深い恐怖を植え付けていた。
入江桂奈もそのことを知っていたからこそ、この二人を寄越したのだろう。
なぜなら、他の誰かだったら、入江和夜はこんなに大人しくしていなかっただろうから。
彼は有名な反抗児で、家では常に他人をいじめていた。この二人のボディーガード以外は……
入江和夜はそこまで考えて、思わずため息をついた。「藤本建吾、今度はお前の母さんの番だな。」
藤本建吾:?
彼は目を回して言った。「お前の母さんこそ終わりだよ!僕のママは強いんだから!」
その言葉を聞いて、入江和夜は口を尖らせた。「僕の母さんはもう終わってる。父さんが言ってたよ、僕を産んですぐ死んだって。」