第693章 誕生日プレゼント(8)

寺田凛奈は、入江桂奈からプレゼントが届くとは思ってもみなかった。

目の前の執事も表情を引き締めて、口を開いた。「配達員が持ってきたものです。調べたところ、その人は確かに普通の配達員で、この地域の配達を何年も担当している者です。発送元は京都でした。」

京都で……

入江桂奈が帰国したの?

彼女の心は一瞬凍りついた。

正直に言えば、入江和夜は幼い頃から入江桂奈と一緒に育ち、入江桂奈の性格が染み付いていて、彼女に育てられた価値観は少し歪んでいた。

入江桂奈は善人ではない。それに和夜の話から察するに、彼女は和夜に対してもあまり良い態度ではなかった。

そもそも、和夜が彼女のもとを離れたのは、入江桂奈に連れて行かれたからではないか?

誘拐犯があなたの子供を殺さなかったからといって、その人に感謝の念を抱くべきではない。