すると、中年の男性が大股で入ってきた。
藤本修也は今年すでに五十歳近く、知的で上品な様子で、髪は半分白くなり、少し年月を感じさせる。藤本凜人と四割ほど似た顔立ちで、その細長い瞳には歳月を経た知恵が沈殿していた。
佐竹璃与は彼を見つめた。
二十数年ぶりの再会だが、彼は相変わらず当時最も好んでいたオーダーメイドのスーツを着ていた。歳月が彼の顔に痕跡を残し、彼女は一瞬恍惚とした。
しかしその後ろから、優しい表情で微笑む女性が続いて入ってきた。よく見ると、その女性と佐竹璃与の服装の趣味が似ており、どちらも上品で優雅なタイプだった。
残念ながら、同じような服でも、佐竹璃与の身には万種の風情があったが、彼女の身には模倣の跡が少し強すぎるように見えた。
佐竹璃与の瞳が突然縮んだ。