寺田芽は今日カメラをオンにして配信を始めた。いつもより少し正式な感じだった。
彼女が配信するたびに、スポンサーのおじいちゃんは必ず視聴に来ていた。スポンサーのお父さんは最近たまに見に来るけど、以前ほど頻繁ではなくなっていた。
おそらく実際に会えるようになったからだろう。
寺田芽はそのことについてはあまり気にしていなかった。
でも、最近配信ルームに新しいスポンサーのおばあちゃんが来るようになった。
もちろん、このおばあちゃんは彼女が呼んでいるわけではなく、相手のユーザーネームがスポンサーのおばあちゃんで、現在ギフトランキング2位になっている。
1位は永遠にスポンサーのおじいちゃんで、誰も超えることはできない。
3位のスポンサーのお父さんは最近このランキングを気にしなくなり、少しずつ順位が下がっていった。
寺田芽はまずスポンサーのおじいちゃんに挨拶をし、その後スポンサーのおばあちゃんが入室してきたのを見て、すぐに甘い声で「スポンサーのおばあちゃん、こんにちは!」と呼びかけた。
スポンサーのおばあちゃんがコメント:私は元気じゃないわ。
ギフトランキング3位の大物として、彼女の文字は配信ルームで特に目立っていた。
寺田芽はすぐにそれを見て、不思議そうに尋ねた:「どうしてですか?誰かに怒らせられたんですか?だったら殴っちゃえばいいじゃないですか!」
佐竹璃与は配信を見ながら、あなたこそが私を怒らせた小悪魔だと言いたかった。
北島梨恵佳のような人と仲良くするなんて……
もし彼女と藤本修也が普通に離婚して、その後北島梨恵佳が藤本修也と付き合うようになったのなら、佐竹璃与は実際には彼らが一緒に遊ぶことを止めなかっただろう。
結局、もう一人芽を愛してくれる人が増えるのは良いことだから。
でも北島梨恵佳は決して良い人ではない、彼女は北島梨恵佳が寺田芽を悪い方向に導くことを恐れていた。
佐竹璃与はただ腹立たしさが募るばかりで、コメントを打とうとした時、ふと寺田芽の後ろのソファーに、一着のお姫様ドレスが置いてあるのに気付いた。
これが北島梨恵佳の言っていた、朝早く寺田芽に贈ったプレゼントなのか?
佐竹璃与はそう考えながら、突然心が萎えてしまった。
彼女は黙ってスマートフォンを置き、立ち上がった。