藤本修也を睨みつける堀口一護。
藤本修也よりも早く、藤本凜人は志村が賛成の手を挙げていないことに気付いていた。そのため、彼は早々に口を閉ざし、心の中に不吉な予感が生まれていた。
集計係がそう言うと、全員が一斉に彼を見つめた。
集計係が何も言わなくても、皆は志村が持つ5パーセントの株式が非常に重要だということを理解していた。
そこで、堀口一護は彼の言葉を遮った。「集計を終わらせるって何だ!志村はまだ同意してないじゃないか!志村の分も加えろ!」
集計係はその言葉を聞き、弱々しく志村を見つめ、彼の選択を待った。
堀口一護が口を開いた。「志村、何を待ってるんだ?早くしろ!藤本凜人はお前に不公平だって言ってたじゃないか?何もできない、お世辞ばかり言う倉田健祐を信頼して、お前のことは警戒ばかりしてるって!」
寝た子を起こされた倉田健祐:??
彼は藤本凜人の後ろに立ち、本当に腹が立っていた。
何がお世辞ばかりだって?!
誰を馬鹿にしてるんだ?!
これは社長の心を読み取る能力が優れているということだろ?!
倉田健祐は怒りで顔が青ざめていた。
堀口一護は離間を煽り続け、さらに全てを表面化させ、志村の不満を全て口にし、彼に態度を表明するよう迫った。「それに、お前が5パーセントの株式を購入した時も、お前の家族全員が支持していたじゃないか。当時、市場価格の倍の値段で売ったんだぞ。そんな社長のことを、お前はずっと気に入らなかったんだろう?お前が言ってたじゃないか?会社で重用されていないって!」
彼の言葉には全て根拠があり、志村の心の中にある本当の不満だということが一目で分かった。他の人なら、こんな話が出た時点で関係は破綻していただろう。
しかし、志村と藤本凜人は……
倉田健祐はさらに口角を引きつらせ、心の中で罵りたくなった!
高値で志村に売ったなんてとんでもない、志村が株を買った金は全て社長が出したんだぞ?!社長は藤本グループに資金を注入したかっただけで、志村を通じて操作しただけなんだ!
真相を知らなければ、きっと堀口一護と一緒になって藤本凜人が志村を酷使したと非難していただろう。
でも実際は?
倉田健祐は心の中でよく分かっていた!
志村こそが社長が最も信頼している人物で、会社で重用されていないのは、海外の事業を任されているからなんだ!