第793章 藤本凜人の行方

藤本優希の瞳孔が急に縮んだ。「お前、銀行システムにハッキングしたのか?これは違法行為だ。告発してやる!」

寺田凛奈は嘲笑した。「告発?私がお前を始末してからにしたらどう?」

そう言って、彼女は立ち上がり、いらだたしげに言った。「藤本優希は私利私欲のために会社を利用し、取締役会から追放される。それに、お前が購入した金の価格は400だったが、会社に売却した時には280まで下落していたにもかかわらず、400で会社に買い取らせた。今すぐその差額を返還しなければ、裁判所に訴えを起こす!」

差額を返還するとなると、それは1億以上になる!

藤本優希は支払うことはできたが、やはり痛手だった。

しかし寺田凛奈が告発しないのなら、この借金を返済せずにはいられない。金を出して災難を避けるしかない!

彼は怒りながら寺田凛奈を見つめた。「いいだろう!全部承知した!でも忘れるな、私もお前を告発できるんだぞ!」

寺田凛奈は眉を上げた。「何を告発するつもり?」

藤本優希は冷笑した。「銀行システムへの不正アクセスだ。」

「そう?」

寺田凛奈は銀行取引明細を手に取り、その白い手で数枚の紙を持ち上げ、隣のシュレッダーに投げ込んだ。そして続けた。「私がいつハッキングしたの?むしろ今、あなたが皆の前で会社の財産を横領したことを認めたから、私たちは銀行にあなたの取引履歴の調査を依頼できるわ……」

藤本優希:!!

彼は信じられない様子で寺田凛奈を見つめた。「お前!彼女は嘘をついている、皆さん聞いていましたよね?」

藤本優希は他の取締役たちを見回したが、皆が顔をそむけ、何も聞かなかった、何も見なかったという表情を浮かべていた。

彼らの様子を見て、藤本優希はすぐに理解した。この連中は全員藤本凜人の腹心だったのだ!

この損失は、認めるしかない!

藤本優希は拳を握りしめた。

まさに黙って苦い薬を飲むようなものだ!

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前回、藤本凜人がいた時は、藤本優希の父親、つまり藤本家の次男だけを取締役会から追放した。次男が全ての過ちを認めたため、一見のんびりしている藤本優希は残された。

今や、藤本優希も追放された。

会社内で、最後まで嫌われていた厄介者もいなくなった。

このことはすぐに業界内で広まった。

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藤本グループのビル前。