電話を切った後、寺田真治はソファに座り、遠くを静かに見つめながら、心が沈んでいた。
藤本家に行った寺田凛奈は、実際よく寺田家に戻って食事をしていたが、これまで寺田亮は彼に知らせることはなかった。今回の凛奈の帰宅に対して、寺田亮がこれほど深刻な様子を見せたことで、寺田真治は事態が露見したのではないかと感じた。
相原が今日のスケジュールを渡した時、彼は敏感に問題に気付いていた。
彼はもうそのアカウントの情報を追求しないと言っていたのに、相原は依然として今日の某人物との面談を予定に入れていた。相原がまだ諦めていないことは明らかだった。
寺田真治は知っていた。彼に従う部下たちは、誰一人として本当には諦めていないことを。
結局のところ、そのアカウントの存在は、彼らに寺田家の神話を作り上げる機会を与えるものだったのだから!