第835章 彼には問題がある

大学のキャンパスでは、学生たちの感情は素早く、そして率直に現れる。

寺田凛奈は彼の告白に対して冷静だった。結局のところ、これまでの年月、太っていた時でさえ、顔立ちが整っていたため、多くの告白を受けてきたのだから。

彼女が断ろうとしたとき、背後から男性の声が聞こえてきた。振り返ると、撮影中の瑛士がいつの間にか彼女の後ろに立っていて、皮肉っぽい口調で言った。「義姉さん、芽と建吾と和夜は元気にしてる？」

寺田凛奈：？

この人はわざわざ彼女を見張っているのか？撮影しなくていいの？

撮影チームってこんなに自由なの？彼が勝手に撮影を中断してもいいの？

それに、なぜこの男は中国語ではなく英語で話すの？前回二人で話したときは中国語だったはずなのに。

彼女は口角をピクリと動かした。

そのとき、ジャックは戸惑った様子で「芽、建吾、和夜って誰？」と尋ねた。

瑛士は眉を上げ、凛奈を見つめ、にやりと笑った。他の人に対しては冷たいのに、凛奈に対しては、この弟は小悪魔のようだった。

前回彼女と話したときに感じた親近感はもうなかった。

凛奈はもともと「でも私には3人のかわいい子供がいるの」と言おうとしていたが、瑛士に話を遮られ、ジャックに質問されたので、彼女は答えた。「私の3人のかわいい子供たちよ」

ジャック：？

ジャックは呆然として、信じられないという表情で凛奈を見つめた。「ええっ、あなたに3人の子供がいるの？成人してるの？見た目は最大でも16歳くらいに見えるよ！」

瑛士はこの言葉を聞いて冷笑し、中国語に切り替えた。「ちっ、このおっさんは口が上手いな。お前はそんなに年取ってるのに、どこが16歳に見えるんだ？」

寺田凛奈：「……」

ジャックは困惑して「何を話しているんですか？」と尋ねた。

凛奈は説明した。「彼はあなたの話し方が素敵だと言ってるわ」

「そうなの？」ジャックは少し照れた様子で「それは褒め言葉だよね、僕はいつもそうなんだ」

「……」

凛奈は黙り込んだ。

ジャックはようやく凛奈に視線を戻した。「君の3人の子供たちはきっととても可愛いんだろうね。時間があれば、会ってみたいな。それで、僕は君を追いかけてもいい？」

瑛士は眉をひそめた。

3人も子供がいるのに、まだ追いかけようとするのか？