「良い選択ですね、閣下」レオノールが言った。
「船の準備をしろ」ザデンは彼に言い、そして部下たちに向き直った。「乗船を始めろ。シレナを奪うぞ」
彼らは頭を下げて去っていった。
彼の副官として同行したのはエリックだった。
実際のところ、ダミアンは階級では4番目だったが、3番目のガリックが月光パックを監督し統制するために留まっていたため、デイミアンが彼の地位を引き継いでいた。
そのため、ダミアンは叔父のウーサーと共に狼群を指揮することになった。
彼らを十分に信頼していた。
ガリックと言えば、彼の監視下でどのように事態が進展しているのか気になった。
ベイルがどうやって彼の気付かないうちに伝書フクロウを行き来させることができたのか。
ザデンは荷物が船に運び込まれるのを見守っていると、月光パックに対して裁きを宣告した日に立ち会った3人の狼の評議会のメンバーが彼に近づいてきた。
「王様に報告を送り、返事を待っています」リーダーのタイウィンが言った。
「王が聞こうが聞くまいが、彼がどんな裁きを下そうと構わない。重要なのはこれだけだ。私が単独で裁きを宣告することだ」ザデンは返答した。
ザデンは本当に王家の言うことなど気にしていなかった。
王は十分すぎるほどのことをしていた。
彼こそがベイルに裏切りを許し、罰せられずに済むようにした理由だった。
王は何もせず、今やザデンは思い通りにできる完全な自由を手に入れたので、王や他のパックハウスが介入するのを許さないだろう。
ベイルを処刑するのは彼の自由だった。
彼はまた、ガリックにも到着を知らせていなかった。
それは誰にも知られたくなかったからだ。
ほとんどリスクを冒すことができなかった。
もしベイルが最期が予想よりも早く訪れることを少しでも察知したら、パックから逃げ出す機会を利用するかもしれず、それはザデンが望まないことだった。
ベイルが自分の所謂最初の娘と子供をザデンに引き渡すことができるなら、他に何ができるか分からなかった。
彼は現行犯で捕まえたかったし、もし彼がエレノアの殺害を命じていたのなら、神よ助けたまえ、死を願うことになるだろう。