彼女は息を飲んだ。
彼女はかがんでそれを拾い上げたかったが、ザデンは彼女の両手を壁にXの形に押し付けたままだった。
彼は彼女の美しい裸体を見下ろし、目が光った。
彼女は彼の頭から逃れようとしたが、彼は粘り強く彼女を壁に押し付けたままにした。
「どこに逃げるつもりだ?」彼は冗談めかして尋ねた。
そして彼の目が貪欲に彼女の体を舐めるように見た。
「これは全て前に見たことがある。触れたこともある。」彼は彼を見上げている彼女のふくよかで張りのある胸を見ながら言った。
かつて彼が手にしたものに触れ、味わうよう誘っているかのようだった。
彼は彼女の首筋に顔を近づけ、彼女の素敵な香りを嗅いだ。
彼女は他の女性たちとは違っていた。
香水を使っていないのに、花の香りがした。
神々しかった。
彼女を見下ろすと、寒さで震えているのに気づいた。
彼は呪いの言葉を吐き、彼女の手を自由にした。
そして彼はかがんで床からタオルを拾い上げ、彼女に手渡した。
彼女は本当に驚いたようだったが、受け取り小さな感謝の言葉を述べた。
そして体にタオルを巻きつけた。
彼女はただ彼を見つめて立っていた。すると彼は自分が彼女の邪魔をしていることに気づき、後ずさりした。
彼女は不安そうに唾を飲み込み、彼から離れて立った。
彼が去ろうとしたとき、彼女は彼を止めた。
「あなたの傷。」彼女は近づいて見た。「治っていないわ。」
彼は頬に手を伸ばし、傷に触れた。まだ新しく、血が出ていた。
「ああ。」彼は小さくつぶやいた。「変身のせいだ。狼の姿になったから治りが遅くなってる。でも明日には大丈夫だろう。」
「心配しないで。」彼女は胸元でタオルをしっかりと結び、部屋の奥へ、ベッドの方へ歩いていった。「この部屋によく来ていたの。窓辺に野生のハーブが生えているのをいつも見ていたわ。」
彼は彼女がこの部屋で何をしていたのか尋ねたかったが、彼女はハーブを持って戻ってきた。
「座って。」彼女は指示した。
そして彼はそうした。
彼はベッドの端に座り、彼女は彼の上に立ってハーブの皮をむき、傷口に並べ始めた。
「痛っ。」彼は焼けるような感覚を感じて言った。
傷口で火蟻が踊っているかのような感覚だった。