江洲、康シティの中心部の端に位置している。
厲司承が車で江洲の別荘に到着したのは、すでに12時を過ぎていた。
程幽は別荘のリビングに座り、床の上で縛られて暴れ続ける容睿を見ながら、長々とあくびをした。
ドアベルの音が聞こえると、すぐにメイドが出迎えに行った。
厲司承が入ってきたとき、床に這いつくばっていた容睿は、冷たく笑って言った。「臆病者、ようやく来たか」
厲司承は彼を無視し、程幽に向かって尋ねた。「母はどこだ?」
「おばさまは先ほど驚かされたので、中の部屋で少し休んでもらっています」
「どの部屋だ?」
程幽は彼を秦書畫のいる部屋に案内した。秦書畫は驚いたように携帯電話をしまい、言った。「ノックもせずに入ってきて、驚いたわ!」
厲司承は彼女の手の中の携帯電話をちらりと見て、言った。「誰と電話していたんだ?」
「お父さんよ」秦書畫は目をそらしながら答えた。「先ほど本当に驚いたわ。あなたが容家の若旦那を連れてきたなんて。お父さんに一言言わなきゃと思って」
「言う必要はない。俺には考えがある。こいつはお前の孫を殺し、お前の嫁をほとんど凌辱されそうになった。以前の唐夢穎のすべての行動も、全部こいつと無関係ではない」
秦書畫は少し驚き、口を押さえて叫んだ。「まさか、本当に彼なの?」
「ああ」厲司承はさらりと応え、前に進んで言った。「大丈夫か?先にお前を送り返そう。これからは用事がないならここに来るな」
秦書畫は首を振り、目をそらしながら言った。「あなたがここに多くの人を配置したと聞いて、見に来ただけよ。まさかあの男が私を騙すなんて……」
「彼があなたを騙したのか、それともあなた自身が彼を解放したのか、それはもう重要ではない」厲司承の声は少し冷たくなった。「母さん、あなたが唐夢穎を好きなのは分かっている。でも、パーティーでのビデオを、あなたもはっきり見たはずだ。あんな女性は、俺自身が好きでないのはもちろん、おじいさんの一線さえ越えられないだろう。これまでの年月、あなたもおじいさんの性格を知っているはずだ。おじいさんの逆鱗に触れないようにしてほしい」
秦書畫はもちろん知っていた。でも……
彼女には止むを得ない事情があったのだ!