第323章:秦書畫の苦衷

江洲、康シティの中心部の端に位置している。

  厲司承が車で江洲の別荘に到着したのは、すでに12時を過ぎていた。

  程幽は別荘のリビングに座り、床の上で縛られて暴れ続ける容睿を見ながら、長々とあくびをした。

  ドアベルの音が聞こえると、すぐにメイドが出迎えに行った。

  厲司承が入ってきたとき、床に這いつくばっていた容睿は、冷たく笑って言った。「臆病者、ようやく来たか」

  厲司承は彼を無視し、程幽に向かって尋ねた。「母はどこだ?」

  「おばさまは先ほど驚かされたので、中の部屋で少し休んでもらっています」

  「どの部屋だ?」

  程幽は彼を秦書畫のいる部屋に案内した。秦書畫は驚いたように携帯電話をしまい、言った。「ノックもせずに入ってきて、驚いたわ!」

  厲司承は彼女の手の中の携帯電話をちらりと見て、言った。「誰と電話していたんだ?」