第451章：容睿という腹黒い男

厲司承はまた電話をかけた。「すぐに、この女の素性を調べろ。住所、身分情報、全部だ！」

「はい、承知しました！」

宋一帆はもう遊ぶ気分ではなくなっていた。厲司承はそれを察し、ちょうど蘇千瓷も少し眠くなってきたところだったので、一緒に帰ることにした。

そして、思いがけない人物と出くわしてしまった。

しかも、一度に二人も。

程幽は母親に引っ張られて容睿との'デート'に出かけることになったとき、心の中で千も万も嫌だと思っていた！

しかし、この腹黒い男・容睿は、彼女が苦労して歩いて帰宅している時に、彼女の両親に何か魔法をかけたに違いない。

程おかあさんが完全に丸め込まれたのはまだしも、少しは自分の立場を守ってくれると思っていた程おとうさんまでもが、すっかり買収されてしまった。

遠くから程おかあさんが見ているのを感じ、程幽はいくら嫌でも、この芝居を最後まで演じ切らなければならなかった。

容睿は彼女の手を握り、わざとゆっくりと歩いた。彼女の緊張や恥ずかしさ、そして不本意さを感じ取り、なぜか心の中で少し嬉しくなった。

程幽は笑顔を見せていたが、その笑顔は明らかに無理をしているように見えた。歯を食いしばって小声で言った。「この馬鹿、早く歩きなさいよ。お母さんを振り切りましょう！」

容睿は横目で彼女を見て、落ち着いた声で言った。「お母さんは、あなたに彼氏ができて、私が適任だと思っているんだ」

「どこが適任よ！ふん、お母さんはあなたの本性を知らないけど、私はよく分かってるわ。あなたは下心があるだけ。お母さんは狼を家に入れようとしているのよ」

「確かに下心はある。でも、私の下心は明白だ。あなたが欲しいだけさ」

この言葉に、程幽の心臓は激しく鼓動した。思わず手を引っ込めようとしたが、容睿の手はしっかりと握ったままだった。

彼の手は少し荒く、大きかった。程幽は彼の手のひらから伝わる温もりをはっきりと感じ、顔が熱くなってきた。目を逸らしながら、軽蔑したように言った。「ふん、私、程幽は二十六年生きてきて、そんなに馬鹿じゃないわ！」

程幽のわずかな変化も容睿の目から逃れることはなかった。瞳の奥に笑みを浮かべながら言った。「大丈夫、これからは少し馬鹿になってもいい。私は気にしないから」