第581章：彼は都合が悪い

蘇千瓷はその言葉を聞いて、黙り込んだ。

生きている人というのは、陸亦寒のことだろうか？

確かに、これまでの長い年月、陸亦寒が彼女にどう接してきたか、彼女にはよくわかっていた。

以前は理解できなかったが、厲司承がいなくなってから、陸亦寒の心は、まるで胸から取り出して丸裸にされたかのように、彼女の前に晒されていた。

陸亦寒はいつも何かと彼女を誘い出そうとし、彼女もいつも様々な言い訳をして断っていた。

それまでは、よく幼稚園に二人の子供たちを送り迎えしたり、家に来て料理を手伝ったり、子供たちにゲームやパソコン、読み書きを教えたりしていた。

しかし、陸亦寒がそうすればするほど、彼女は彼と向き合うことができなくなっていった。

陸亦寒と最後に会ってから、少なくとも二ヶ月は経っているだろうか？

蘇千瓷は、自分が彼に多くの借りがあることを知っていた、本当に多くの……

おじいさんは彼女を見つめ、ため息をつきながら言った。「まあいい、自分で考えなさい。この老いぼれは、もう余計な口出しはしないよ。」

「おじいさん……」蘇千瓷は俯きながら小声で呼びかけ、何か言おうとしたが、おじいさんに遮られた。

「ところで、千千や、一つ頼みがあるんだが。」おじいさんは傍らの杖を取り、立ち上がろうとした。

蘇千瓷は急いで前に出て、おじいさんを支え起こした。「何が頼みですか、おじいさん。何でも言ってください、できる限りやらせていただきます。」

「さあ、部屋まで付き添ってくれ。」おじいさんは片手に杖をつきながら、ゆっくりと歩き出した。

おじいさんを部屋まで送り届けると、おじいさんはベッドサイドの棚の下から古い懐中時計を取り出し、蘇千瓷に手渡しながら、重々しく語った。「この懐中時計を、私の古い戦友の孫に届けてくれないか。長年、この重荷を心に抱えてきたんだ。当時、戦友は私を救うために、私の前に身を投げ出してくれた。我々はまだ二十歳そこそこで、厲堯が生まれて間もない頃だった。彼の子供もまだ二、三歳だった。その後、彼は亡くなった。戦争のため、遺体を見つけることができなかったが、つい先日やっと彼の家族を見つけることができたんだ。本当に大変だった！」

蘇千瓷は懐中時計を受け取り、開いてみると、中に一枚の白く黄ばんだ白黒写真が入っているのが目に入った。