第579章:厲靳南の艶遇

「洛安兄さん……うぅ……」見知らぬ女性は、水色のドレスを着ていて、とてもロリータ風に見え、一目で若いことが分かった。長い髪をしており、今はやや乱れていて、長い前髪が乱雑に垂れ下がり、もともと白い小さな顔をより一層愛らしく見せていた。襟元は大きく開き、白く幼い谷間が覗いていた。

深くはなく、むしろとても初々しく、処女の香りが漂っているようだった。

しかし、このような光景は男性にとって、より致命的な誘惑となる。

残念ながら、彼女が出会ったのは厲靳南だった。

厲靳南は軍隊出身で、29年間一度も女性に触れたことがなかったが、厲家の遺伝子は非常に強力だった。

彼らの家族は皆、色欲に溺れず、乱れた恋愛もしない。厲靳南も当然そうだった。

この時の厲靳南の胸の内には嫌悪感しかなかった。

この女性を押しのけ、厲靳南は恐ろしいほど表情を曇らせ、冷たく警告した。「出て行け!」

その女の子はこの言葉を聞いて、さらに泣き声を上げ、体を寄せてきて、両手で厲靳南の足にしがみついて離さず、酔った様子で言った。「いやです、いやです、洛安兄さん……私を追い出さないで。」

厲靳南は目を閉じ開きし、彼女を力強く引き上げ、手放すと、素早く外へ向かって歩き出した。

しかし後ろの女性は、突然大声で泣き叫び始めた。「どうして私を受け入れてくれないの、私こそがあなたの婚約……ヒック……者なのに、どうして私を受け入れてくれないの、どうして……あなたは……ヒック……葉采璃なんかを選んで、私を選んでくれないの……」

厲靳南が出て行く途中、一人の男性がこの叫び声を聞いて、奇妙な目つきで彼を見た。

厲靳南は目もくれず、蘇千瓷のいる宴会場へ向かって歩いた。

ただし途中で、どことなく女っぽい男性とぶつかった。トレンディな髪型で、ピンクのヒョウ柄のセットアップを着て、首にスカーフを巻き、指を優雅に立て、口紅を塗りメイクをし、慌てた表情で叫んでいた。「葉悠悠、葉悠悠、あんた出てきなさいよ!あらまあ、あんなに酔っ払って走り回るなんて、まったく手に負えないわ!」

厲靳南はこの言葉を聞いて、眉を上げた。