TLとLSの提携は、TLの宣伝により、広く知られるようになった。
厲靳南が自ら契約の場に臨んだことは、業界内で大きな話題となった。
唐清はボディーガードを従え、すでに用意されていた契約書を渡した。
厲靳南はそれを受け取り、細かく確認した。
頭の中では、Lからの一連の文字が常に彼に警告を発していた。
【TLの契約には隠された違約の抜け穴がある。契約時には漏らさず、後で反撃に使える】
隠された違約の抜け穴?
厲靳南は意図的に注意事項の部分を長く見つめ、唐清は彼の表情を一つも見逃すまいと、じっと見つめていた。
最終的に、厲靳南は違約条項をちらりと見ただけで、数行の文字を頭の中で何度か反芻し、やっと理解した。
なるほど……さすがに厲司承らしい手口だ。狡猾で陰険な。
厲靳南は今や、Lが厲司承であり、この書類を作成したのも間違いなく厲司承だと確信していた。
心の中は波立っていたものの、厲靳南は表情を変えなかった。
書類全体の中で、違約条項だけを最も短い時間で確認した。
厲靳南は自分のマーカーを取り出し、素早くサインをして厲氏の印鑑を押した後、唐清と交換した。
唐清も署名済みの書類を渡し、交換が完了し、両企業は正式に提携を発表した。
厲靳南と唐清は最後に軽く握手を交わし、互いに頷いた。
二人が別れようとした時、厲靳南の携帯が鳴った。
唐清の視線は常に彼に向けられており、厲靳南の表情が一瞬変化し、次の瞬間、普段は喜怒を表に出さない彼の顔に、言いようのない喜びの色が浮かんだのを見た。彼は信じられないという様子で声を上げた。「唐夢穎が見つかったのか?」
唐清はその言葉を聞いて、思わず手を縮めた。
後ろのボディーガードも、心臓が一瞬止まりそうになった。
警戒して少し身を寄せ、唐清の前に立った。
しかし、厲靳南は唐清に一瞥も送らず、厳しい表情で指示を出した。「必ず彼女を見つけ出せ。雲南にいようがミャンマーにいようが、必ず捕まえろ!」
雲南?
ミャンマー?
唐清とボディーガードは視線を交わし、二人とも安心した。
どうやら、人違いのようだった。
厲靳南はさらに数言指示を出してから、電話を切った。
振り返って、唐清に少し申し訳なさそうに言った。「申し訳ありません。用事があるので、先に失礼します。」
「はい、厲社長どうぞ。」