第610話：妹が私にこうさせたんだ

蘇千瓷はベッドの上でだらしなく横たわり、動きたくない様子で言った。「ママもう少し寝かせて、眠いの。」

厲簡悅は目をパチパチさせ、そのまま彼女の上に這い上がり、ふわふわの小さな頭を彼女の胸に寄せて言った。「じゃあもう少し寝ましょう。」

蘇千瓷は口角を上げ、厲簡悅の小さな頭を撫でながら、再び目を閉じた。

しかし2分も経たないうちに、小さな子が騒ぎ出した。「ママ、もう時間だよ、起きていいよ。」

「まだよ、もう少しだけ。」

「だめだよ、ママ約束破っちゃダメ、そんなのダメ！」厲簡悅は彼女の服を引っ張って、起こそうとしたが、蘇千瓷はじっと動かなかった。

小さな子は顔を真っ赤にして、蘇千瓷のお腹の上に跨り、頬を膨らませ、両手の人差し指を蘇千瓷の鼻の穴に突っ込んで言った。「起きて起きて起きて！」

蘇千瓷は笑いながら、彼女の手を払いのけ、彼女をひっくり返してお尻を軽く叩いた。「お仕置きよ。」

「あーあー、ママが叩いた、助けて、お兄ちゃん助けて！」

厲簡謙が外から顔を覗かせ、目をパチパチさせながら聞いた。「ママ、もう大丈夫？」

「はいはい。」蘇千瓷は欠伸をしながら、厲簡悅を押しのけ、ベッドサイドからウェットティッシュを取り出して彼女の手を拭いた。「ママ歯磨きと洗顔してくるわ。朝ご飯は食べた？」

「食べたよ！」厲簡悅は自慢げな顔で言った。「ママを待ってたの、ママは大きなお寝坊さん！」

蘇千瓷は彼女の鼻をつまんでから、ベッドから降りて洗面所に入った。

洗面所の中で、洗面台の上には、厲司承が使っていた物がそのまま置かれており、長い間使用されていないため、少し白っぽく見えた。

蘇千瓷はちらりと見て、自分のコップを手に取り、その洗面用具に向かって言った。「おはよう、厲さん。」

身支度を整えて扉を開けると、部屋の中はすっかりめちゃくちゃになっていた。

厲簡謙は布団を頭からかぶり、体に巻き付けたまま、ベッドの上に立ち、下で跪いている厲簡悅を見下ろして言った。「反省したか！」

厲簡悅は今にも泣きそうな表情で、ウーウー泣きまねをしながら言った。「はい、妾は間違いを認めます、皇上どうかお許しを…妾は二度とこのようなことはいたしません…」

厲墨森は横に立ち、両手を巻き上げ、少し頭を下げていた。蘇千瓷は一目で分かった、これは小太監の真似をしているのだと。