【遠陸亦寒】:今夜、康城タワーの最上階で、七時半に、待ってます
陸亦寒とも、同じく一ヶ月連絡を取っていなかった。
この一ヶ月間、陸亦寒は彼女の視界から姿を消していた。
ただ、おじいさんは時々彼女の前で陸亦寒の話をし、陸亦寒を絶賛していた。
そのたびに、蘇千瓷は笑うだけで何も言わなかった。
陸亦寒からのメッセージを見て、蘇千瓷は携帯を手に取り、返信した:どうしたの?
【遠陸亦寒】:緊急事態[大泣き]
【千千蘇辭】:わかった、食事はある?あるなら私は先に食べないでおくわ
【遠陸亦寒】:もちろんあるよ
【千千蘇辭】:じゃあ、残業してから行くわ
【遠陸亦寒】:[OK]
蘇千瓷は家族に電話で連絡を入れ、会社で七時まで忙しく働いてから、階下に降り、車で康城タワーに向かった。
康城タワーの最上階は、108階だった。
展望エレベーターは上下左右すべてが透明で、蘇千瓷は周りの夜景を眺めながら、かつてないほど心が穏やかになった。
康城タワーの最上階は、空中庭園になっていた。
ここに来るには高額なチケットが必要で、そのため上がってくる人はそれほど多くなかった。
しかし、今日のようにこんなに静かなのは、蘇千瓷も初めて見た。
周りは真っ暗で、蘇千瓷は軽度の夜盲症だった。
見上げると、月が明るく星が疎らに輝いていた。
風が少し強く、蘇千瓷の額の両脇の髪が軽く揺れていた。
慎重に一歩踏み出し、蘇千瓷は声を上げた:「亦寒?」
返事はなかった。
突然、周りが眩しい光に包まれ、蘇千瓷は突然の光で目が少し痛くなり、思わず顔を少しそらし、目を閉じた。
再び意識を取り戻すと、蘇千瓷は前を見た。目の前の光は整然と並び、美しく広い小道を形作っていた。
小道には、美しいカラフルなバラの花が敷き詰められ、かすかなバラの香りが空気中に漂っていた。
小道の左右両側には、美しく豪華な照明が設置されていた。
色とりどりの琉璃の光が、一枚一枚鮮明な写真を包み込んでいた。
写真には、蘇千瓷の高校時代の姿があった。
当時の彼女は、黒く密な長髪を二つに分けて肩に垂らし、お弁当箱を抱えて前を見つめていた。
画質は良くなかったが、陸亦寒が盗撮したものだった。
蘇千瓷はバラの花びらを踏みながら、光の小道に沿って歩いていった。