第645章：奴らに会いに行く

静姉さんはボディーガードを連れてエレベーターを降り、ロビーの視線を浴びながら、平然と建物を出た。

車に戻ってからようやく、大きくため息をついた。

車には運転手が一人待機していた。静姉さんの同僚だ。

厲司承の表情はずっと変わらなかった。車に乗り込んでから、サングラスを静かに外し、冷たく重々しい声で言った。「発車して。」

その男は厲司承に対して特に何も感じていなかったが、このような命令口調を聞いて非常に不快に思った。

しかし、上司の梁靜が全く反対しないのを見て、すぐに車を発進させ、ゆっくりと東方インターナショナルタワーを離れた。

北京時間の午後11時05分だった。

「静姉さん、我々の正体はばれた。奴らは私がリーダーだと思っているが、今夜あなたの正体もばれた。唐夢穎のところにはもう戻れない。今から別行動を取る。すぐに戻って逮捕の手配をしてくれ。」

静姉さんはそれを聞いて、深刻な表情で言った。「今すぐ動くの？前に言っていた仕事は終わったの？」

「まだだ。あと少しで、おそらく二日ほど必要だ。」

二日、あと二日あれば薄氏の犯罪証拠を手に入れられる。三年かけて準備し、三年かけて計画を練り、三年間屈辱に耐えてきた。それは二日後のためだった。

しかし、このような重要な時期に正体がばれてしまった。

厲司承は正体がばれることを予想していた。TLの動きが大きすぎて、彼の計算では少なくとも四十日は相手が息つく暇もないはずだった。

早すぎた、早すぎた……

薄氏は想像以上に手ごわい相手だった。

「どうすればいい？これだけ長く準備して、潜伏してきたのに……」

厲司承の表情も同様に良くなかった。「待てない。すでに蛇の尾を踏んでしまった。これ以上待てば、何年もかけた計画が全て水の泡になる。今、彼らが疑い始めたばかりのうちに一気に捕まえる。同僚に連絡して薄氏の倉庫を捜索させろ。バイオリンかギターの中に商品が隠されているはずだ。」

「あなたは？」

厲司承は静姉さんの質問を聞いて、深い瞳に隠しきれない冷たさが走り、ゆっくりと言った。「奴らに会いに行く。」

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程幽は赤ちゃんにミルクを飲ませていた。