第644話:男女がこんな音を立てるなんて、何をしているの?

唐夢穎の体はまっすぐ後ろに倒れ込み、手に持っていたグラスがカーペットに落ち、赤い液体がすぐにカーペットに染み込んでいった。

厲司承は冷ややかな目で見つめ、周りを見回してから窓を開けた。

今夜は風が強く、とても強かった。

窓を開けると、強風が一気に入り込み、カーテンとレースカーテンが高く舞い上がった。

厲司承は下を覗き込んだ。とても高い。

ここは最上階で、おおよそ40階以上はあるだろう。

ここから飛び降りるのは、あまりにも非現実的だ。

厲司承は少し考え込んでから、周りを確認し、最終的にトイレに隠れ、ズボンのボタンを外して、ボタン部分をめくると、その中に小さな隠し場所があった。

その隠し場所には、小さな密封袋が隠されていた。

袋の中には、サファイアの十字架のピアスが入っていた。

「静姉さん、計画が変更になった。支援を要請する。」

……

30分後、静姉さんは大柄な黒服のボディーガードを連れて東方インターナショナルタワーに上がった。

黒服のボディーガードは黒い革ジャンを着て、背が高くスラッとしており、サングラスをかけ、威厳のある様子だった。

ドアの前にいたボディーガードたちは皆静姉さんを知っていて、挨拶を交わした後、静姉さんは当然のように唐夢穎のいるスイートルームまで行き、ドアをノックして言った。「お嬢様、私です。」

部屋の中からしばらくして、ドアが開いた。

静姉さんはその大柄な黒服のボディーガードと一緒に入り、約15分後、静姉さんは笑みを浮かべながら出てきた。

外のボディーガードたちは静姉さんの表情を見て、興味深そうに近寄ってきた。

すると、中からガチャガチャという音が聞こえてきた。その音はトイレから聞こえていた。

静姉さんの表情も相まって、ボディーガードたちはさらに興味を持ち、尋ねた。「どうしたんですか?」

「男女がトイレでこんな音を立てているって、何をしているか分かるでしょう?」静姉さんは'分かってないわね'という表情でボディーガードを見て、「しっかり見張っていなさい。何か必要があれば入ればいいけど、用もないのに邪魔しちゃダメよ!」

ボディーガードたちも意味ありげな表情で、揃って笑い出した。

静姉さんは連れてきたボディーガードと共にエレベーターに乗り、すぐに下りていった。