第764話:お前の得になったな

ここは、荒涼とした野原だった。

自然のままの草、自然のままの木々。

陸亦寒は蘇千瓷が人々に囲まれて去っていく様子を見つめ、その瞳には羨望の色が浮かんでいた。

遠くで、厲司承は紳士的な真っ白なスーツに白い蝶ネクタイを身につけ、その背の高くすらりとした姿は、この光の中で一層端正に見えた。

この男は、あまりにも優れていた。

外見だけでなく、その心遣いまでも、陸亦寒は及ばないと感じていた。

先週、厲司承が結婚式の企画を手伝ってほしいと頼みに来た時、陸亦寒は断った。

彼と自分は恋敵の立場なのに、なぜ恋敵を手伝わなければならないのか?

しかし後になって、千千の顔に増えていく笑顔や、子供たちの幸せそうな様子を見て。

五人家族の幸せな姿は、誰もが羨むほどだった。

何度も夢の中で、蘇千瓷が不満げな表情を浮かべる姿を見た。

彼女は問いかけた:どうして私にサプライズをくれないの?どうして私を幸せにしてくれないの?私のことが好きなんじゃないの?愛してるんじゃないの?愛しているのになぜそんなに自分勝手なの?

陸亦寒も自問した。

なぜこんなに自分勝手なのか?

誰かを愛するということは、心の底からその人の幸せを願い、心の底からその人の喜びを望むことではないのか?

羅戰が自分に好意を持っているかもしれないと気づいた後、陸亦寒は逃げ出すことを考えた。

偶然か、言い訳か。

陸亦寒は空港でふとアイルランドの文字を目にし、どこにも行き場がないのなら...彼女にサプライズを贈ろうと思った。

自分が関わる最後のサプライズを。

この数日間、陸亦寒は厲司承が朝から晩まで忙しく働き、毎日五時間も睡眠を取れない様子を目の当たりにした。

ウェディングドレスのデザインから会場のデザインまで、厲司承は多くのことを自ら手がけ、些細なミスも許さなかった。

この会場を見た時、陸亦寒の心には衝撃しかなかった。

聞いてみると、厲司承は五年前から準備を始めていたという。

四年の空白期間を経て再び戻ってきた厲司承は、この場所をより完璧に、より細やかに、そしてより夢のような空間に仕上げた。

なんという素晴らしいサプライズ!

この心遣いには、陸亦寒も及ばないと感じた。

陸亦寒の視線に気づいたかのように、その背の高い白い姿がわずかに横を向いた。