第765話：安心して、そんなチャンスはないから

厲司承はその言葉を聞いて、軽く笑った。

歐銘もタバコに火をつけ、陸亦寒を見て尋ねた。「余裏裏とはどのくらいの付き合いなんだ？」

陸亦寒は歐銘が突然話しかけてくるとは思わなかった。少し戸惑った後、落ち着いた様子で煙を吐き出し、考えてから言った。「9年か10年くらいかな。長い付き合いだけど、実際の交流はそれほど多くない。高校の時、彼女と千千は学費を稼ぐためにバイトをしていた。当時は千千と同じ席だったから、彼女とは仲が良かったけど、余裏裏とはそれほど親しくなかった。」

ただ、普通のクラスメートよりは少し親しかった。

蘇千瓷はずっとコンビニやデパートでまじめにバイトをしていたが、余裏裏はバーやカラオケで酒やタバコを売っていた。確かにそちらの方が稼ぎは良かった。

彼は余裏裏が自分をしっかり守れると信じていたが...後に余裏裏が金持ちの二世に囲われていたことを知り、陸亦寒の余裏裏に対する最後の好感も完全に消え去った。

男は誰でも良い女が好きだ。陸亦寒も例外ではない。

そう比べると、蘇千瓷の素直で穏やかな性格が際立つ。

だから、余裏裏のような人物とは、陸亦寒はここ数年できるだけ関わらないようにしていた。

結局、彼女が彼のことを好きなのは秘密ではなかったから。

陸亦寒の説明を聞いて、歐銘はタバコに火をつけ、眉を上げてさらに尋ねた。「蘇千瓷とは何年の付き合いだ？」

「13年と5ヶ月だ。」陸亦寒は躊躇なく即答した。

しかし、言葉が落ちた瞬間、厲司承の危険な視線を受けた。

陸亦寒は自分でもこんなにはっきり覚えているとは思わなかった。

意識して覚えていたわけではないのに、その時間は心に刻まれているかのように、自然と記憶に残っていた。

苦笑いしながら、陸亦寒は自嘲気味に唇を歪めた。「十数年経っても、結局お前に一歩遅れをとった。」厲司承の肩に手を置き、陸亦寒は深いため息をついた。「彼女を大切にしろよ。もし彼女を傷つけたら、いつでも決着をつけに来る。」

厲司承は冷静に彼の手を払いのけ、目に冷気を帯びながらゆっくりと言った。「安心しろ、そんな機会は与えない。」

「そうあってほしいものだ。」

歐銘も同様に唇を曲げ、不敵な笑みを浮かべた。

その笑みには、嘲笑と皮肉が込められていたが、それ以上に言い表せない無力感が漂っていた。