身をかがめて見てみると、余裏裏の目に溜まっていた涙が一気に零れ落ちた。
どうすればいいの……
見慣れた写真立てだけど、彼女の幸せな時期を切り取った写真が全て消えてしまっていた。
どうすればいいの……
突然、余裏裏は部屋のテーブルのことを思い出した。
そのテーブルの上には、分厚い日記帳が置いてあったはずだ。
あの日記帳には、彼女の数々の心情が綴られていた。
振り返ると、テーブルは無残にも床に横たわっていた。
そして、あの日記帳は跡形もなく消えていた。
ベッドの下も、クローゼットの下も、どこにもない!
クローゼットを開けると、中の服は全てスプレーワックスで汚されていた。
クローゼットいっぱいの服、数少ないブランド品、そして彼女が何年もかけて倹約して買い集めた上品な服。
長年大切に守ってきた服が、自分の家の、自分のクローゼットの中で、無残にも破壊されていた。