分からない程歩いた後、顧靖澤が言った。「まだ着かないのか?」
林澈はそのとき初めて気づいた。ずっと隣を歩きながら、彼の横顔を見て、笑っている姿を見ていて、一瞬麻辣湯のことを忘れていたのだ。今になって気づいたが、自分はもう通り過ぎていた。
「あら、通り過ぎちゃった。後ろにあるわ」
林澈は恥ずかしそうに言った。
顧靖澤は呆れて言った。「お前...ちょっと見ていられないな。頭はどこに置いてきたんだ」
「あなたに食べられちゃったのよ、ふん」林澈は彼をにらみつけた。心の中で思った。あなたが理由もなく私の手を引っ張って歩かなければ、私がぼーっとするはずがない。一瞬気づかずに、そのまま通り過ぎてしまうなんて。
林澈は一瞬彼の目を見る勇気がなく、ただ言った。「もういいわ、戻りましょう。そんなに遠くまで行ってないから」