「あら、あなたはもう知っていたの?」林澈は驚いて顧靖澤を見つめた。
顧靖澤は言った。「このスピーチ原稿は私が人に依頼して作らせたものだ。どう思う?」
「……」林澈は言った。「顧靖澤、こんなことまであなたが管理するの?」
「私が毎日処理している様々な事って、何だと思ってるんだ?」
「そうね、私にはあなたたちのような権力の中心にいる人物のことなんて分からないわ。明日の朝ご飯は何を食べようかって考えるだけで十分よ。でも、私の隣にこんなに凄い男性がいるなんて、やっぱり誇らしく思うわ、へへ」
顧靖澤は彼女のファンガール的な様子を見て、「今更、お前の男が凄いことに気付いたのか?」
「そうよそうよ、一挙手一投足で多くの人の運命を決められるなんて、まあ、考えただけでもすごく格好いいわね」
「俺はずっと凄かったんだぞ、お前だって知ってるだろう」彼は笑いながら、彼女の手を握り、さらに力を込めた。
林澈はハッとして、突然理解した。彼の言う「凄い」は別の意味だったのだと。
もう、この人ったら、すぐに下ネタに持っていくんだから、最近は本当にベテランドライバーになってきたわ。
林澈はニュースを見ながら言った。「お兄さんがあんなに真面目な人なのに、婚約者とホテルに行くなんて思わなかったわ。でも、そうね、お兄さんだって男の人だもの。あなただって真面目そうに見えるけど、実は不良じゃない」
顧靖澤は笑って言った。「報道に書かれていることが全て本当だと思ってるのか?」
「どういう意味?」林澈は驚いて顔を上げ、顧靖澤を見た。
顧靖澤は言った。「この件は全て嘘だ」
「え?」
「昨日、兄貴が相談に来た。去年、うっかり女性とぶつかってしまい、その結果計略にはまった。ずっと写真を送りつけられていて、今回は私が怪我をしている間に、顧家の全員が私のことで忙しくしているのを利用して、彼らはまた行動を起こし、写真を再び公開したんだ」
「あ、誰か暗中で顧家に対抗しているの?」
「ああ、C国で顧家だけが大きな力を持っていて、誰も恐れる必要がないと思ってるのか?C国では誰も恐れる必要はないが、今回のM国特使との面会での事故は、おそらく宿敵の仕業だ」
「顧家の宿敵は……」