「ゲームはやらないでしょう……」
「あまり好きじゃないね」
「斗地主もできないの?」
「それは何?」
「なんでもないわ、ただのカードゲームよ。ああ、私たち本当に一緒に遊べないわね。普段どんな趣味があるの?」林澈は、顧靖澤が何にも興味がない人のように感じた。
顧靖澤は言った。「お茶を飲むこと、フィットネス、音楽を聴くこと……書道」
「書道?それが趣味なの?」
「毛筆書道だ」顧靖澤は答えた。
林澈は驚いて言った。「毛筆書道ができるの?」
「もちろんさ。祖父が直接教えてくれたんだ。祖父は小楷が上手で、当時はかなり有名だった」
林澈は言った。「見せてくれない?」
「お前は興味もないのに、何を見るんだ?」
「私、まだ誰かが本物の毛筆書道をするところを見たことないの。私にとっては骨董品みたいなものだわ。まさか身近にできる人がいるなんて……」
「……」顧靖澤は呆れて彼女を見つめた。
誰が骨董品だと言っているのか……
顧靖澤は彼女を見て、「それはお前の周りに教養があってこういう趣のある物事を楽しめる人が一人もいないからだ!」
「はいはい、あなたを骨董品だって言ってるんじゃないわ。これって本当に珍しいって意味よ……」
「お前の周りにいる秦卿のような連中が、どんなくだらないものを持ち込めるというんだ」
「……」林澈は分かった。さっき彼を骨董品と言ったことで、怒っているのだと。
怒るならそれでいいけど、なぜ関係ない人まで巻き込むの?
「はいはい、私の旦那様ほど凄い人はいないわ。何でもできて、こんな高尚なことまでできるんだもの。だから早く見せてよ」
顧靖澤は鼻を鳴らしたが、彼女がこんなに素直なので、やっと顔を上げて、使用人に筆墨紙硯を持ってくるように命じた。
しばらくして、道具が運ばれてきた。
テーブルに広げた後、顧靖澤は筆を取り、林澈に言った。「もう随分書いていないかもしれない」
「大丈夫よ、適当に書いて。私は笑わないから」
言い終わるや否や、顧靖澤はすでに書き始めていた。
彼は力を入れすぎることなく書き、すぐに白い紙の上に美しい黒い文字が現れた。林澈は魔法のようだと感じた。こんなに美しい文字が一気に書き出されるなんて、感嘆せずにはいられなかった。