林澈は急いで警備員に通すように言い、楊凌昕を見て、「どうしてここに来たの?」と尋ねた。
楊凌昕は「澈さん、物をなくしてしまって申し訳ありません」と言った。
「ああ、あれね。大丈夫よ、コピーがないか探してもらうから」
「違うんです。私、とても責任を感じて、あちこち探してみたんです。半晩かけて、ようやく会社で見つけました」
林澈は一瞬驚いた。
楊凌昕がこんなに一生懸命探して、今も汗だくの様子を見て、急いで中に入るように促した。
「まずは中に入って。汗だくじゃない。何か飲み物でも飲みましょう」
楊凌昕は中に入り、この場所を見回した。初めてではないが、やはり圧倒される思いだった。
高価な床を踏みながら、林澈に「靴が汚れているので、履き替えたほうがいいですね。このカーペット、とても良さそうですから」と言った。