彼は林澈の頭を自分の膝の上に置き、そのようにお腹をさすっていた。
林澈はそれを直接楽しんでいて、顧靖澤は淡々とした目で、真剣に彼女をさすっていた。
その様子は、まるで普通の夫婦と変わらないようだったが、その男は他の誰でもない、顧靖澤だった。
高慢な顧靖澤が、中で林澈のお腹をさすっているなんて、誰が聞いても信じられないだろう?
陸初夏はそこに立ち、胸が詰まる思いがしたが、いつか自分が林澈の今の位置を占め、顧靖澤を心身ともに独占できることを願っていた。
そして中では、使用人が顧靖澤に尋ねたが、顧靖澤は冷淡に「誰も入れるな」と言っただけだった。
使用人は理解して出てきて、陸初夏に「ご主人様とお奥様は外の方とお会いできない状態です。ですので…」と言った。
「ふん、私まで止めるなんて、私だと言ったの?私が来たら靖澤が入れないなんて言うはずがないわ、ふん」しかし、そう言いながらも、陸初夏はいったん立ち去った。
この時、中では、顧靖澤はまだ林澈をさすっていた。
林澈はとても心地よく感じ、男性の体温は女性とは本当に違うと感じた。
そして幼い頃から父親の愛情を受けたことのない彼女は、この愛されているような感覚をとても楽しんでいて、父親の感覚を思い出させた。
おそらく、父親もこんな感じだったのだろう、でも彼女にはそんな良い父親はいなかった。
幸いなことに、天は彼女に良い父親は与えなかったが、良い夫を与えてくれた。
一時的なものだとしても、彼女は幸せの味を感じていた。
顧靖澤は彼女の満足げな表情を見て、「そんなに気持ちいいのか?」と尋ねた。
林澈は甘えるように「うん、気持ちいい、すごく気持ちいいわ、とても気持ちいい」と言った。
「……」彼女の口から出るこの言葉は、なぜか言い表せない味わいを感じさせた。
彼女は続けて小さな声で「続けて、止めないで」と言った。
「……」
もしベッドの上だったら、彼女はこんな風に話す勇気はないだろう。彼女は耐えられなくなった時は自分の指を噛むだけで、恥ずかしくて一言も言えないのだ。
考えてみれば、彼はベッドで彼女がこんな言葉を言う姿を少し期待していたのかもしれない。