第380章 彼女への想い

顧靖澤は林澈を見たが、何も言わなかった。

翌日。

顧氏グループ。

秦浩は入ってきて、資料を慎重に顧靖澤の棚に置いた。

「顧社長、これは今回の跨海大橋の都市建設業者の資料です。ご確認ください。現在、実力のある会社が何社か入札を予定しています。大統領閣下にも確認を取りましたが、問題ないとのことです。最終的な決定は顧社長にお任せします。」

顧靖澤は資料を開き、数ページを素早く目を通したが、ある資料に目が留まった。

「秦家も今回の競争に参加しているのか?」

「はい、顧社長。彼らも実力のある競争相手です。長年建設を請け負ってきた実績もありますし、今回の審査団も彼らを高く評価しています。」秦浩は顧靖澤の表情を注意深く観察し、なぜ突然秦家の話題を出したのか、その意図を探ろうとした。

秦家の参加を望んでいないのか?

秦家が気に入らないのか?

しかし、その時顧靖澤は突然言った。「秦家に決めよう。これまで長年建設を請け負ってきた基盤と経験があり、審査団も適切だと判断しているなら、彼らでいい。」

そう言って、資料を脇に置いた。

秦浩は驚いて彼を見つめた。

彼は以前から調査を手伝っていたので、林澈と秦卿の過去の関係を知っていた。

顧靖澤は秦卿を排除するどころか、こんな大きなプロジェクトを秦家に任せるのか?

確かに秦家にはその実力があるが、実力のある会社は秦家だけではない。

しかし、主人の考えは推し量らないほうがいい。プロジェクトや会社を冗談で扱うような人ではないことだけは分かっていればいい。

——

林澈が撮影現場から戻ってきたところで、顧靖澤が突然言った。「行こう、一緒に食事に。」

林澈は言った。「え、でも私は撮影現場の弁当を食べたばかりで。」

「じゃあ夜食を食べに行こう。」顧靖澤は林澈の肩を抱き、何も言わせずに彼女を外へ連れ出した。

「ちょっと、ちょっと、どこに行くの?」

林澈は心の中で少し疑問に思いながらも、顧靖澤を信頼していたので、彼に連れられるままについて行った。

すぐに顧氏グループ傘下のホテルに到着し、中に入ると、林澈は中が賑やかなのを感じて尋ねた。「中で何をしているの?」

顧靖澤は答えた。「ああ、あるプロジェクトが入札後に正式に着工することになり、その祝賀会だ。私も挨拶に来た。」

「そうなんだ。」