第431章 授賞式当日の手痛い一撃

林澈は携帯をいじりながら寄りかかって言った。「そうでもないよ。行く先々で学べばいいさ」

秦綰綰は彼女の素っ気ない態度を見て、自分のベッドに戻り、林澈を見つめながら恨めしく思った。この状況でまだこんなに落ち着いているなんて、どこまで平然としていられるかしら。

翌日。

秦綰綰は大賞に参加するため、特別に一日休暇を取った。

彼女の赤い艶やかなドレスは、カメラの前で際立っていた。

大賞の時期が近づく中、秦綰綰は林澈による薬物投与というニュースで一気に知名度が上がり、か弱い被害者のイメージで同情票も多く集めていたため、彼女の到着は大きな注目を集めた。

記者たちはすぐに彼女の周りに集まり、秦綰綰に尋ねた。「今夜の大賞について、自信はありますか?」

秦綰綰は答えた。「ずっと自信はないんですが、もし選んでいただけるなら、とても嬉しいです」

「林澈の大賞辞退について、どう思いますか?」

秦綰綰は言った。「とても残念だと思います」

「なぜ突然辞退したんでしょうか?本当に合意があったんですか?」

秦綰綰は言った。「それについては、私も知りません。辞退のことは彼女から聞いていません。同じ部屋に住んでいますが、今は気分が良くないようで、あまり人と話さないので、私もそういった質問で邪魔するのは控えています。とにかく、突然ニュースで知って、私も驚きました」

この発言の意図は明らかで、辞退は確かに唐突で、様々な憶測を呼ぶものだった。他に理由がないとすれば、秦綰綰の件で辞退したということになる。さらに、秦綰綰は同じ部屋に住んでいても、林澈は今や彼女を無視していると述べた。

林澈が寛容でなく、自分が間違いを犯したのに怒っているということを暗に示唆していた。

記者はさらに質問した。「では、薬物投与の件は本当なのですか?」

秦綰綰は答えた。「それについても、よく分かりません。警察と会社に任せていて、最近は勉強に忙しくて、これらの件には関わっていません」

「では、合意の件は本当なのでしょうか?」

「私のマネージャーが彼女のマネージャーと対応について話し合いに行きましたが、具体的な合意内容は私も分かりません。ただ、話し合いから間もなく、彼女が大賞の選考から辞退したようです」と秦綰綰は言った。