林澈と顧靖澤は、彼女のことを気にも留めなかった。
顧靖澤はずっと林澈を見つめていた。
「何を見ているの?」
林澈は地図を注意深く見ながら、彼に言った。「スマホの地図を見てるの。場所を選ぼうと思って。この辺りには堀があるから、河岸がいい場所かもしれない!」
「蚊が多いぞ」
「……」林澈もそうだと思った。「じゃあ、あっちの公園はどう?公園でもいいかも」
「暗すぎる」
「そうだね、照明がないし、公園の灯りはすごく暗いもんね。じゃあ、このアパートの辺りはどう?」
「人が多すぎる」
「……」林澈は顧靖澤を睨みつけた。この男は本当にうるさい。
「もういいわ、堀の近くにしましょう。蚊なんて怖くないわ。どうせバーベキューで炭を使うんだし、最悪、虫除けスプレーを多めに塗ってあげるから、ハハハ」
「……」
顧靖澤の表情が曇った。
林澈も想像できなかった。顧靖澤が虫除けスプレーまみれになった姿を。
彼はいつも高潔で、塵一つ付かない、世俗を知らないような雰囲気なのに、虫除けスプレーの匂いをまとったら……
彼女は今からちょっと楽しみになってきた。
しばらくして、後ろから俞閔閔も追いついてきた。
沈悠然の車も後に続いた。
林澈はWeChatで場所を伝え、ついてくるように言った。
数分後、車は堀の近くの綺麗な場所に停まった。
車を降りると、俞閔閔が近づいてきて言った。「ここ、景色いいじゃない」
沈悠然も降りてきて、「林澈、閔閔、来たよ」と呼びかけた。
後ろで、陳宇晟が言った。「顧社長も今日はご機嫌がいいみたいですね。バーベキューまで来るなんて」
顧靖澤は彼を軽く一瞥し、手すりに寄りかかって堀を眺めていた。
下の堀の水面はきらきらと輝き、ネオンの光を映して、まるで星のように瞬いていた。
女の子たちはおしゃべりしながらバーベキューグリル、椅子、テーブル、調味料、串肉などを準備し始めた。すべてが揃うと、すぐにバーベキューが始まり、香ばしい匂いが漂う中、林澈はそこに座って、手伝いもせずに自分の話をしている顧靖澤と陳宇晟を見ていた。
沈悠然が言った。「二人とも焼かないなんて、蚊の餌になりに来たの?」
林澈もちらっと見て、「まあいいわ」と言った。
もう慣れていた。