俞閔閔は言った。「あら、まんじゅうができたわ。私が食べるわ」
陳宇晟が言った。「顧社長、私の給料を上げてもらえると思うんですが」
顧靖澤は彼を見て言った。「最近ますます役立たずになってきているのに、給料を上げろだって?」
「ほら見てください。医者をしながら、お守り役もして、仕事が終わってからも働き続けているのに、残業代も出ないんですか?」
「私が来いと言ったのか?」
「もちろんです。元々あなたは何もしなかったじゃないですか。バーベキューはおろか、外食すら行かなかったのに。今じゃ東奔西走して、自分でバーベキューまでするようになって。私は医者として常に付き添わなければならないし、以前より疲れますよ。ああ、本当に今となっては、昔の外に出ず、仕事以外何もしなかった顧社長が懐かしいですね。でも今の顧社長、変わりすぎじゃないですか」
陳宇晟の言わんとすることは明らかだった。彼は残業代が欲しいわけではなく、ただ顧靖澤が林澈と一緒になってからの変化について言っているのだ。
顧靖澤は陳宇晟を見て言った。「そうだな。以前はお前があまりにもつまらなかったから、お前が医者でいても外に出る気にならなかった。今はようやくお前がいなくなったから、外に出る気になったんだ」
「……」
陳宇晟が鼻を鳴らすと、沈悠然が近寄ってきて言った。「何の話をしているの?」
陳宇晟は言った。「顧奥様は男性に手づから食べ物を食べさせているのに、どうして君は私に食べさせてくれないんだって話さ」
沈悠然も顔を赤らめた。彼は彼女の男ではないのに、なぜ食べさせなければならないのか。
「うるさい、自分で手があるでしょ。なんで私が食べさせなきゃいけないのよ!」
水面がまだ揺らめいている中、沈悠然はここを見ながらつぶやいた。「本当に、顧社長に大統領夫人に陳天才医師までが、ここでバーベキューをしているなんて。誰かに見られたら驚くでしょうね」
陳宇晟は言った。「何が驚くことがあるんだ」
「普段なら会いたくても会えない人たちが、普通の人みたいに隠れてバーベキューしているんだもの」
「これが生活ってものさ!私のような普段なら会いたくても会えない人間だと分かっているなら、早く鶏肉一切れ食べさせてくれないか?」
どうしてまたそんな話になるんだろう。