ボディーガードは、周りを探し回ったが、人は見つからなかったと言った。
範囲を広げて、周辺も探してみた。
しかし、この辺りは比較的辺鄙な田舎で、周囲に監視カメラも少なく、立ち去った人の行方を追うのは本当に難しかった。
さらに悪いことに、陸北辰は部屋で、顧靖妍が財布も携帯も銀行カードも小銭も持たずに出て行ったことに気付いた。何も持たずにどこへ行ったのだろうか……
陸北辰はようやく焦り始め、外で電話をかけて人を探すよう指示した。
林澈も中で非常に心配していたが、顧靖澤が黙っているのを見て、邪魔をする勇気もなく、彼に静かに考える時間を与えた。
一時間が経過したが、まだ見つからなかった。
顧靖澤は突然、陸北辰の襟首を掴んだ。
「靖妍に何かあったら……」
「分かっている。彼女に何も起こさせない」陸北辰は顧靖澤の手を振り払い、大股で出て行った。
顧靖澤も直ちに後を追った。
「そうであることを願う」
二人の男が顧靖妍のことで言い争うのを見て、林澈は後ろで何も言えなかった。ボディーガードたちは顧靖妍の失踪により、総動員されていた。林澈が外に出ると、空がすでに明るみ始めており、庭園は静まり返っていた。どうすればいいか分からず、とりあえず自分も探しに出ることにした。
しかし、外に出て一周してみると、自分も何も持たずに慌てて出てきたことに気付いた。
実際、彼女にできることはほとんどなく、ただ家で待っているだけで、みんなが心配している様子を見ているのが辛くて、少し空気を吸いに出てきただけだった。結果として、一周回ってきたら、持ち物を忘れていた。
その時、数人が突然林澈を見つけた。
その数人が自分を見つけ、一人また一人と近づいてくるのを見て、林澈は突然嫌な予感がした。
「やあ、お嬢さん、どうして一人なの?どこのお嬢さん?」
彼らは外国語で話していたので、林澈には理解できなかった。ただ「すみません、あなたたちを知りません。帰ります。主人が待っています」と言うしかなかった。
彼女の言葉も彼らには通じなかったが、彼女を見て、酔っ払って帰ってきたばかりの数人は、お構いなしに彼女を掴まえた。「さあ、一緒に飲みに行こうよ。こんな可愛いお嬢さんが飲まないなんてありえないでしょう」