第519章 人を渡さないなら、ここを燃やしてやる

陸北辰の顔色が変わった。

「もう一度言ってみろ」と彼は言いながら、すでに駆け寄って拳を振り上げようとしていた。

幸い、部下の目が利いて、自分の若様の気性をよく知っていた。

他の事なら、若様は比較的落ち着いていて、どこに行っても跋扈な坊ちゃんという雰囲気を漂わせているものの、やはり真面目な人物だった。

結局のところ、陸家にいれば、跋扈でないはずがない。金の匙をくわえて育ったのだから、傲慢にならないはずがない。

それに、この程度の傲慢さは、みんなも好ましく思っていた。

ただし、奥様に関することになると、その傲慢さは理性を失ってしまう。

必ず問題を起こすことになる。

ここは異国の地なのに、地元のごろつきと喧嘩を始めるなんて、まともに帰れると思っているのだろうか。もし怪我でもしたら、家にどう説明すればいいのか。