この時、二人が最後の一投を始めようとしているのを見て、林澈は立ち上がって見守っていた。最後の一投で、果たしてパーフェクトになるのかどうか分からなかった。
そのとき、陸北辰がボールを手に取った。
顧靖澤は突然陸北辰を見て、さらりと言った。「そういえば、靖妍の日記帳を見たことがあるかな」
「……」陸北辰は急に顧靖澤を見た。「何を言っているんだ?」
顧靖澤は顔を上げて、「靖妍は高校時代、ずっと日記を書いていて、家には十数冊あるはずだけど、見たことないの?」
「……」彼は顧靖妍との生活ではお互いの私物には干渉しないようにしていたし、そういったものには一切手を出していなかった。
でも、日記って何なんだ?彼のことが書かれているのだろうか?
ありえない話ではない。高校時代、彼らはとても親しかったのだから。
彼は彼女が日記に何を書いていたのか気になった。また、高校時代の自分が彼女の心の中でどんな位置にいたのかも知りたかった。
顧靖澤はそれだけ言って、微笑みながら彼を見つめ、投げ続けるよう促した。
くそっ……
こんな陰険な奴は見たことがない。
最後の一投のときに、よくもまあ……
しかし、陸北辰は一瞥してから、ゆっくりとボールを投げ出した。そして……
ボールはすぐに横にそれ、四本のピンしか倒れず、残りは揺れただけで倒れなかった。
「あぁ……惜しい……」周りの人が驚きの声を上げた。
林澈は急に立ち上がり、これはどういうことだろうと考えた。さっき顧靖澤が陸北辰に何か言ったようで、その後、陸北辰は……自動的に諦めたみたいだった。
でも、一体何を言ったのだろう?
次は顧靖澤の番だった。
彼は振り返って陸北辰を見た。唇の端に謎めいた笑みを浮かべていた。
その後、彼は自信を持ってボールを投げ出した。これまでの多くの投球と同じように、迷いは全くなかった。
結果は予想通り、またもパーフェクトだった。
こうして顧靖澤が勝利した。
林澈は飛び上がって走り寄り、「わぁ、陸北辰、自分から負けを認めたの?男性に告白しに行くの?」
顧靖妍も言った。「やっぱり私の二番目の兄には敵わないでしょ、ほら……早く告白してきなさい」
陸北辰は振り返って顧靖妍を睨みつけた。