第608章 允詩の身分もう見たでしょう

エリックは鹿允詩を見下ろした。

前方で、その男の子も彼女を呆然と見つめていた。

鹿允詩は立ち上がって言った。「わかってる、これは私が悪いし、彼も悪い。でも、彼は私を無理やり外に連れ出したわけじゃない。私が自分から行きたかったの。それに、彼は私にとても優しかった。本当に優しくて、外でも私のことをよく面倒見てくれた。私をいじめたりしなかった。むしろ私の方が彼をいじめてた。彼は本当はいい人だと思う。ただ今回は間違いを犯しただけ。私が間違ったことをしたら、みんな許してくれる。彼が間違ったことをしても、彼にもチャンスをあげて。いい?」

エリックは彼女がそう言うのを聞いて、頭を下げるしかなかった。

彼女の最後の言葉は、あまりにも反論できないものだった。

彼女が間違いを犯しても、みんな彼女を許すだろう。それは彼女がエリックの娘だからというだけでなく、これが許せないことではないからでもある。