顧靖澤はずっと彼女に、彼は王子様ではなく、騎士のように思わせていた。暗闇の気配を纏い、恐ろしく襲いかかり、彼女の安全を守りながら、自分自身は密かに憂鬱を抱えていた。
しかし今日、顧靖澤はまるで王子様のようだった。相変わらず冷たさはあったが、その眼差しには多くの温かさが加わっていた。
林澈は彼を見つめ、一歩一歩と近づいていった。
彼女は突然、結婚式を本当に楽しみにし始めていた。
おそらく、結婚式の意味は、すべての人に自分が誰と結婚したかを知らせることではなく、ただ彼が温かく自分を迎え入れる姿を見たいだけなのだ。まるで神様に宣言するように、彼が彼女を新しい世界へと導くかのように。
彼女は心の中で思った、彼のこの姿を皆に見せたいと。
とても温かく、とてもかっこよく、とても優しい。
なぜみんなが彼をそんなに恐れているのか分からない、林澈は思った。顧靖澤は実際にそれほど怖くないのに、みんなは彼のこんなに良い一面を見ることができないのだ。
彼女が近づくと、カメラマンが後ろから急いで言った。「素晴らしい、とても似合っています。では顧さん、奥様、これから撮影に行ってもよろしいでしょうか?」
顧靖澤はうなずき、林澈を連れて外に出た。
車で海辺まで行くと、降りてすぐに青い海岸線に停泊している船が見えた。
顧靖澤は言った。「ちょうど船を一隻買ったところだ。まずはそこで撮影しよう。」
林澈は「ああ」と声を出し、彼に引かれて船に乗った。
船の上からは青い海が見え、目の前には美しいおとぎ話の城があり、とても美しく見えた。
林澈は下に多くの人が撮影しているのを見ることができた。彼らはこちらの大きな船を見て、その上にいる二人を見て、とても驚いていた。
林澈は言った。「ここはウェディングフォトを撮りに来る人が多いんですね。」
顧靖澤は「ああ」と返した。「だから私たちは船の上で撮影する。邪魔されないように。」
海風に吹かれながら、カメラマンは機材を調整し、二人を見た。一人は顧靖澤で、もう一人は顧奥様だと知り、彼は半日考えた末、普段モデルたちに使うやり方を使う勇気が出ず、ただ二人に言った。「あの、あの、お二人は自由にポーズをとってください。まずは撮ってみましょう。」