「そうよ、あなたみたいに人に手配してもらわなくても、どこに行っても安いホテルを予約して、自分でガイドブックを見て安いものを食べて、とにかく贅沢しないような旅行は、あなたみたいな大社長には向いてないわ」
顧靖澤は少し考えてから言った。「確かに、それはとても時間の無駄だ」
まあ、そうね……
「でも、たまには試してみるのもいいかもしれない」
「え、試してみたいの?」
「うん、機会があれば」
彼は林澈を抱きしめながら、「君と一緒に試してみてもいい」
彼自身は特に興味はなかったが、彼女と一緒に歩くのなら構わなかった。
林澈はそれを聞いて微笑み、先に降りて周りの魅力的な景色を見ながら笑って言った。「ここ、とても綺麗ね。このおとぎ話の世界、思ったほど大きくないわね。写真で見るとすごく大きく見えたのに、実際に見るとちょっと小さいわね」
顧靖澤は言った。「写真は必ずしも信用できないものだ」
彼は林澈の手を引いて降りていった。林澈は道中を見ながら、確かに多くの場所は、家で写真を見るだけでは不十分で、実際に出かけて見てみないと、どんなものか本当にはわからないと感じた。
もし顧靖澤がいなければ、彼女はいつこんな場所に来る機会があったかわからなかった。
それも、何も考えずに、思い立ったらすぐに出発できるような贅沢な旅行で。
林澈がまだあれこれ考えている間に、顧靖澤は既に彼女を連れて近くの小さな別荘に到着していた。
小さな別荘と言っても、顧家の他の別荘と比べれば、ここは本当に小さかった。
中に入ると、林澈は辺りを見回し、ここに泊まるのかと思ったが、顔を上げると、中には多くの人が二人を見ていることに気づいた。
二人が入ってくると、皆は敬意を表して挨拶し、その様子からは、二人をかなり長い間待っていたようだった。
部屋に入ると、正面の衣装ラックにたくさんのウェディングドレスがあるのが見えた……
林澈は完全に呆然として、口を押さえながら言った。「わあ、これは何……」
顧靖澤は振り返り、口を押さえている林澈を見て言った。「今はまだ結婚式はできないけれど、先にウェディング写真を撮ることはできる」
ウェディング写真?
林澈はまだ一度もウェディングドレスを着たことがなかった……
演技でさえ、こういう場面を撮ったことはなかった。ウェディングドレスか……