林澈は携帯の地図表示に従って、食事ができる場所を見つけた。
入ると、顧靖澤はコミュニケーションに障害がなく、フランス語と英語で話し、すぐに美味しい料理を出してもらえた。
隣にいた人はまだジェスチャーで伝えようとしていたが、顧靖澤がぺらぺらと話して注文を済ませるのを聞いて、驚いて口を開けた。
三人が座って食事をしながら、林澈は「こちらの人は英語か何語を話すの?」と尋ねた。
「公用語はギリシャ語だけど、こういった商売人はたいてい英語を話せるし、フランス語、ドイツ語、イタリア語も少しは話せるよ。ここは小さな国だから、彼らはよく行き来して、多くの言語を話せるんだ」
「じゃあ、さっきあなたは……」
「各言語を試してみて、店主がどの言語を話せるか確認していたんだ」
「……」林澈は驚いて彼を見つめた。
カメラマンも横から口を挟み、感心して言った。「顧さんは本当に優れた模範ですね。私たちとは比べものになりません。パリに何年もいるのに、私はフランス語もあまり話せません。本当に恥ずかしい限りです」
林澈は言った。「彼はちょっと変態的なタイプだから、私たちの方が普通なの。大丈夫、恥じる必要はないわ」
カメラマンは笑うだけで、奥さんならそう言えても、自分は顧靖澤のことを変態だなんて言えなかった。
「顧さんがこれほどの成功を収めているのも予想できることですね。あなたの努力も並大抵ではないし、その勤勉さと学ぶ姿勢には本当に敬服します」
林澈は思った。それは確かに。彼がどれだけ忙しいか、他の人は知らなくても、林澈はよく知っている。
今だって、写真撮影に来ているのに、電話やスマホ、タブレットで常に仕事の処理をしている。
一年中、本当に休む日なんてほとんどないのだ。
比べれば、従業員にはまだ数日の休暇があって、何も考えなくていい日があるけど、社長である彼は一年中忙しく、一日の休みも取れないのだ。
食事の後、彼らは一緒に林澈が予約していた民宿に向かった。
家は近くにあり、入ると三人は隣にカップルがいるのを聞いた。どうやら新婚旅行に来たようで、とても楽しそうに「ここ、本当にいいね!」と歓声を上げていた。