第727章 一気に川に落ちた

尹素雅は振り返って、「そうね、私も彼を見ていなかったわ、ただ彼がまだ来ていないのが不思議だなと思っただけ」と言った。

方仲謀は尹素雅に向かって首を横に振るだけだった。

そのとき、顧靖溟がようやく到着した。

無数の星の輝きの中、彼は歩いてきて、高台に立ち、パーティーに参加している人々が皆こちらに注目するのを見て、微笑んで言った。「M国の温かいおもてなしに感謝します。また、皆さんが私と一緒にM国に来てくれたことにも感謝します」

皆はグラスを掲げ、顧靖溟を見つめながら、彼の数言の言葉の感染力が、饒舌な人々の無数のスピーチよりも優れていることに感嘆した。なぜか分からないが、この大統領は言葉は少ないものの、人々に非常に安心感を与えるのだった。

もちろん、顧靖溟の普段の政策も国民のために福祉を作り出すことに余念がなく、今日まで細かな問題を除いて、批判されるような大きな事件は起こっていなかった。そのため、顧靖溟は歴代の大統領の中で、大多数の人々に比較的好かれている大統領閣下の一人となっていた。

俞閔閔は一人で後ろに現れた。彼女は控えめに姿を現し、前を見ながら、知り合いが一人も見当たらないので、まだうろうろしていて、自分が何をすべきか分からなかった。

おそらく顧靖溟は彼女を一緒に連れてくるとは全く言っていなかったので、行程表にも彼女の名前は加えられておらず、そのため彼女がここに来ても暇を持て余していた。

「おい、なんで一人でここをうろついているんだ」幸いにも、このとき許逸の声が聞こえてきた。

彼女は振り返り、許逸を見て安堵のため息をついた。

「ちょうど行くところがなかったところよ。そういえば、あなたたちがどうしてここに来たのかまだ聞いていなかったわ」

許逸は言った。「ああ、家で暇だったし、靖溟がM国に行くと言うから、ついでに見に来たんだ。彼が辺境の小国に行くなら、俺たちも苦労して付いていかないけど、M国なら一緒に遊びに来てもいいだろう」

俞閔閔は首を振った。「やっぱり騒ぎに便乗するのね」

「どうしたんだ、俺たちが来て君と靖溟の二人の世界を邪魔するのが嫌なのか」

「やめてよ、もちろんそうじゃないわ。私はそもそも来たくなかったのよ」

——

その一方で、誰かが「大統領夫人が来られましたね」と声をかけた。