第182章 私は臆病な女は好きじゃない

彼は彼女の額に額を押し当てて、息を切らせて呼吸した。

　　彼女の腰に回した腕を締め付け、声を掠れさせて言った。「何度教えても、まだ息の仕方を覚えていないのか？これからもっと練習しないとな。」

　　喬綿綿は「……」

　　今でも十分頻繁に練習しているじゃない！

　　彼は彼女を見るたびに、キスをする。

　　もはやキス魔と化していた。

　　しかも毎回深いキスで、彼女は毎回窒息死するかと思うほどだった！

　　前の席の李おじさんはこの光景を見て、目は鼻を見、鼻は唇を見つめ、唇を噛んで密かに笑った。

　　本当に良かった。

　　坊ちゃまの癖は完全に治ったようだ。

　　今では女性に触れることができるだけでなく、親密な行動も問題なくできるようになった。

　　これもひとえに若奥様のおかげだ。

　　*

　　10分後。

　　黒いロールスロイスがプライベートクラブの外に停まった。

　　墨夜司は車から降りると、すぐに喬綿綿の手を取った。

　　喬綿綿がちょっと抵抗しようとすると、彼は彼女の手をさらにきつく握った。

　　マネージャーの案内で、彼は彼女の手を引いてクラブの中に入った。

　　歩きながら、彼女に言った。「言三と沈柔たちはもう到着して、個室で私たちを待っているよ。」

　　喬綿綿は少し緊張していた。

　　彼らはみんな知り合いで、彼女だけがこの集まりの唯一の他人だった。

　　彼女がここに来ることが良いことなのか、彼らに影響を与えないかどうか分からなかった。

　　それに、彼の友人たち……

　　彼は気にしなくていいと言ったけれど、彼女はどうしても気にならずにはいられなかった。

　　「あの……」彼女は唇を噛んで、彼の袖を引っ張った。

　　「ん？」墨夜司は彼女を見下ろした。

　　「あなたの友人を迎えるって言ってたけど、私たち何かプレゼントを買って渡した方がいいんじゃない？」

　　このまま手ぶらで来るのは少し気が引けた。

　　「必要ない。」墨夜司はさらりと言った。「他人じゃないんだから、そんなに気を遣う必要はない。」

　　ある個室の前で、クラブのマネージャーは足を止めた。

　　ドアは半開きだった。