普段、彼女は買い物が好きだった。
週末になると、彼女は薑洛離と一緒に街へ買い物に行くのが常だった。
ただ今日は墨夜司と一緒だった。
男性は買い物が大嫌いだ。
喬綿綿は当然、彼に好きでないことを無理強いするつもりはなかった。
普段買い物に行きたいときは、薑洛離と一緒に行けばいい。
墨夜司は一瞬驚いた様子で、目に驚きの色が浮かんだ。
魏徵は女性は買い物が大好きだと言っていたのではないか?
どうして彼女はあまり興味がなさそうなのか?
彼は数秒黙り、軽く眉を上げた。「本当に買いたいものはないの?何か買いたいものがあれば、一緒に付き合うよ。」
「私は…」
「オーディションの時、薑洛離の助けがあったって言ってたよね?」墨夜司は少し考えて、別の言い方をした。「彼女があなたを助けてくれたんだから、お礼の品を買うべきじゃないかな?デパートに行って、彼女へのプレゼントを選んでみようか。」
喬綿綿は少し意外そうに彼を見た。
墨夜司は彼女と目を合わせた。「どうしたの?」
彼女は首を振った。「何でもないわ。ただ、あなたがこんなに気が利くとは思わなかっただけ。私も気づかなかったことを、あなたが気づいてくれて。」
「あなたの言う通りよ。洛洛は私を大いに助けてくれたから、お礼の品を買って感謝の気持ちを表すべきね。」
「でも…本当に私と一緒に買い物に付き合ってくれるの?」
墨夜司はうなずいた。「ああ。何か問題でも?」
「問題ないわ。」喬綿綿は彼を見つめながら言った。「ただ、あなたが退屈だとか、つまらないと感じるんじゃないかと心配で。男性は皆、買い物が嫌いなんじゃないの?」
墨夜司は彼女をしばらく見つめた。「ああ、確かに好きじゃない。でも誰と一緒にそれをするかによるな。」
男性のあの漆黒で魅惑的な深い瞳が彼女を見つめ、低い声で人を惹きつける息遣いで言った。「好きな人と一緒なら、何をしても退屈じゃない。」
喬綿綿はハッとし、小さな心臓が「ドキドキドキ」と激しく鼓動し始めた。
白くて可愛らしい顔が、少しずつ赤くなっていった。
その瞬間、彼女は自分の心臓が胸郭を激しく叩く音を聞いた。
墨夜司という男は…
なんてこんなに人を惹きつけるんだろう。
こっそり『恋愛の名言集』みたいな本を読んだりしたのかしら。