第378章 以前、私たちは知り合いでしたか?

今この瞬間、喬綿綿はただ早く立ち去りたかった。

  彼女は宮澤離がまだ自分を見ていることを知っていた。

  しかし彼女は見えないふりをした。

  「はい、お嬢様」

  店員は彼女の言葉を聞いて、思わずほっとした。

  幸いこのバッグは他の色もあった。

  さもなければ、この二人の客がもしバッグ一つで争い始めたら、頭が痛くなるところだった。

  宮さまの方は絶対に怒らせるわけにはいかない。

  そしてもう一人の客に付き添っている男性客も、身分が並々ならぬ様子で、軽々しく怒らせるわけにはいかない人物のようだった。

  今のような解決方法が、最も完璧だった。

  「林さん、宮さま、少々お待ちください。すぐにこのバッグを包装いたします」店員は喬綿綿が置いた黒いバッグを取り上げ、レジの方へ包装と精算に向かおうとした。