第512章 彼はひどい男だ

通りを歩くと、振り返られるほどのイケメンだった。

しかし、大学4年間で一度も恋愛をしたことがなかった。

卒業してから、墨氏に入社し、今に至るまで独身を貫いていた。

学生時代は、勉強が最も重要だった。

就職後は、仕事が最も重要だった。

恋愛については、考えたこともなく、あまり興味もなかった。

でも今は……

自分のBOSSが結婚して妻を持ってからこんなにも変わったのを見て、魏徵は突然、自分も恋愛がしたくなった。

彼も試してみたかった、恋愛後の生活が今とどう違うのかを。

もっと素晴らしいものになるのだろうか。

変わらない生活をこれほど長く続けてきて、どうやら、こんな単調な生活にも少し飽きてきたようだ。

*

墨夜司は魏徵に電話をかけた後、休憩室に行って喬綿綿を見に行った。

数分もしないうちに、小さなベッドに横たわる小さな人は目を閉じて眠っていた。

彼女のまつ毛は長く、濃密で、カールした弧を描いて人形のように見えた。

その整った美しい小さな顔は、ショーケースに飾られたフィギュアのような顔立ちで、美しすぎて現実離れしていた。

雪のような肌は、彼が手放せないほどだった。

彼女の肌が白すぎるため、少しの跡でもはっきりと残ってしまい、以前の彼は度を超して、彼女の体にたくさんの跡を残してしまった。

それらの青紫の跡は、一見すると誰かに虐待されたかのように見えた。

少し目を覆いたくなるほどだった。

墨夜司はベッドの傍らに立って暫く見つめ、心の中で自分を「けだもの」と罵った。

どうして彼の大切なベイビーをこんなにひどく傷つけてしまったのだろう。

自分は本当にろくでなしだ。

今は理性が戻ってきたから、自分が獣のようで、ろくでなしだと感じているのだ。

反省することを覚えた。

しかし、さっきの興奮していた時のことを忘れているようだ。少女の涙を浮かべた目と可哀想な表情を見た時、彼の頭の中は彼女を困らせる考えでいっぱいだった。

全く……自分が獣だとは思っていなかった。

墨夜司はベッドの傍らに暫く立っていた後、そっとベッドの端に座り、大きな手を少女の紅潮した柔らかな頬に優しく置き、掌で彼女の柔らかな頬を撫でた。

彼は声を潜めて言った:「ベイビー、ごめんね。私の抑えきれない気持ちを許して、次は……気をつけるから。」